10月22日。鉄道遺産と名物駅弁と
1997年、横川駅~軽井沢の廃線に伴って、廃線跡地と旧碓氷線を利用した遊歩道が完成しました。
めがね橋や碓氷湖へ繋がる、この遊歩道の名前はなんでしょうか。
答えは「アプトの道」
鉄道開業150周年を迎えた、この秋。
「鉄道開業150周年記念 JR東日本パス」でおトクな鉄道旅に出る知人も少なくないなか、前々から気になっていたルートを歩いてみることにしました。
出社のため上京していたワタクシは、八高線~信越線経由で、
相棒は、しなの鉄道とJRバスを利用して、
出発地となる横川駅へやって来ました。
峠歩き前に食糧調達を忘れずに
横川駅といえば、おぎのやの峠の釜めし。
本店は以前利用しているので、今回は駅の売店で購入です。
「ボクが学生時代に初めて買った時には、確か800円だったんだよなぁ」
そう相棒が懐かしむ峠の釜めしも、今や1,200円。
四半世紀近くを経て1.5倍のお値段は、妥当といえば妥当な気がします。
背負って歩くには、紙容器に入った釜めしのほうがありがたいのですが、コチラで取り扱っているのは、昔ながらの陶製の釜のみ。
ビニール袋に蒸気を逃がすための穴が開いているのにも注目です。
鉄道文化むらから、鉄道遺産をたどって
横川駅を出て左方向、鉄道文化むら入り口の右手が「アプトの道」の起点。
廃線直前まで碓氷峠を上り下りする列車をけん引した電気機関車、EF63の姿があります。
「峠のシェルパ」とも呼ばれたEF63は、碓氷峠専用に設計・製造されたのだとか。
鉄道文化むらの敷地沿いの道を歩きだすと、トロッコ列車が出発するところでした。
トロッコ列車を見送って上り坂を進むと、龍駒山をバックにレアな車両がズラリ。
「鐵」な方々にはたまらない光景です。
かつての線路跡を整備した「アプトの道」
「後ろから列車が来ることなんてないんだよな」といっていたら…。
キター!
どうやら入れ替えのためだったようですが。
右手に見えるレンガ造りの建物は、丸山変電所。
振り返ると、結構上っていることが分かります。
おっ、トロッコ列車が折り返してきましたね。
そして、線路の下をくぐると、
ほどなく峠の湯。
ココがトロッコ列車の終点となります。
峠の力餅の看板を過ぎた先で、いよいよトンネルへ。
この先、熊ノ平までは10個のトンネルがあります。
蒸気機関車時代の煤も残る、レンガ造りのトンネル。
レンガのひとつひとつが手作業で積まれているんですよね…。
その後、こんな風景を眺めながら上り、
5つ目のトンネルを抜けた先が、
碓氷第3橋梁、めがね橋。
アプトの道における最大の見どころです。
かつては単線の線路が敷かれていた橋の上も、現在は趣ある石畳に。
谷の奥を望むと、色付きかけた木々の間に、1963年(昭和38)から1997年(平成9)の長野新幹線開業の前夜まで使われてきた新線の橋。
見下ろせば、国道18号の旧道が走っています。
全体像を見るために、遊歩道で国道まで降りてみましょう。
見れば見るほどホレボレする美脚っぷり(笑)
雄大な4連アーチを持つめがね橋は、明治25年の完成。
長さ87.7m、川底からの高さは31mあります。
相棒いわく「重要文化財どころか、国宝にしてもいいんじゃない?」と。
下ったものは上らなくてはならぬ、というわけで、階段を上り返してアプトの道ウォークを再開。
橋付近のにぎわいとはうって変わって、静寂が戻ります。
めがね橋から熊ノ平まではおよそ1.2km。
最初はワクワクしたトンネルも、だんだん飽きてきたというのが本音ですが…。
最後となる第10号トンネルの先に、ようやく熊ノ平信号所跡が見えてきました。
給水給炭および列車交換のために設けられた、碓氷峠のなかで唯一の平地です。
横川側へ振り返ると、一般には立ち入ることのできない新線の上り線、下り線と、我々が歩いてきた旧線。
そして、旧線時代に行き違いのために使われてきた押し下げ線の、4つのトンネルが並びます。
軽井沢側を望み、左手は熊ノ平変電所。
一帯は架線等の保存状況もよく、廃線から四半世紀も経っているとは思えません。
ホームに上がってみることができないのは残念。
いただきます
熊ノ平殉難碑(1950年6月、大雨による大規模崩落で50人が犠牲となった事故)の前のベンチに、買ってきた峠の釜めしを広げてお昼ごはん。
横川駅から重い釜を背負ってくれた相棒には、感謝しかありません。
■峠の釜めし(1,200円)
横川駅や碓氷峠を訪れたことがなくても、その名は広く知られている名物弁当。
益子焼の釜に、鶏肉やゴボウ、タケノコ、シイタケなどの山の幸がぎっしり詰まっています。
クリの甘露煮や干しアンズも入っているのも特色。
釜をかたどったプラ容器に入った漬物も、なかなかイケるのです。
鉄道が走っていた往時に思いを寄せて。
この釜めしが、どれほどの旅人のイブクロとココロを満たしてきたのでしょうか。
「オイシイ、オイシイ」といいながら、ペロリと完食。
でも、中身は空になっても、荷物はたいして軽くならないのよね…(汗)
“鉄道開業150周年の秋、碓氷峠を歩く 【アプトの道(安中市)】” への1件の返信
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