2022 はたこトラベル創立記念旅行 1章4節「国指定重要文化財の駅舎」

12月16日。鹿児島本線、北の終着駅です

11:13、小倉で乗り換えた区間快速は門司港に着きました。
どんよりとした空と相まって、いかにもセピア色の写真のなかにタイムスリップしたような光景です。

1914年(大正3)創建当時の姿に復元されたホームには、売店や自販機はもちろんのこと、ベンチもありません。

「もじこう」の表示がレトロな駅名標は、フォトスポットとして人気なのだとか。

ホームの行き詰まりにある大きな車止めが、終着駅に来たという思いを深くします。

そのすぐ脇には、SLで使われていた動輪。

そして、旅立ちの鐘が設けられています。
現在の駅舎が建てられて以来、「出発合図の鐘」から「安全の鐘」として、多くの旅客の安全を祈り、見守ってきた鐘です。

改札口の手前でも、その趣に思わず足を止めます。
自動改札機も、抑えめな赤色で悪目立ちしていません。

「ようこそ レトロの街 門司港へ」

そんな門司港駅は、1988年(昭和63)に駅舎としては初めて指定された、国の重要文化財。
2007年(平成19)には近代化産業遺産(北九州炭鉱-筑豊炭田からの石炭輸送・貿易関連遺産)にも認定されています。

改札口と待合室の間の通路。
改札脇のファミマの看板もレトロカラーです。

お手洗いの前には「帰り水」と呼ばれる水道がありました。
戦前には海外旅行帰国者、終戦後には復員や引揚の人たちが、安堵の思いとともにこの水飲み場でのどを潤したそうで。

高級レストランと、高貴な方々を迎えた空間と

待合室へ向かう途中でこんな看板が目に入り、足を止めました。

「みかど食堂」という名も、菊の御紋に通じるマークも、いかにも高級そう。
こんなところでランチするのもよさそうです。
とりあえず、自由に見学できるというんですから、行くだけ行ってみましょう。

木の階段を上って2階へ。
吹き抜けに響く音と、靴を通じて伝わってくる感触に胸の高鳴りを覚えます。

温かな照明に照らされる廊下。
向かって右側が「みかど食堂」、左手が、旧次室、貴賓室になっています。
ところが、この記事を書くにあたって調べ直したところ、「みかど食堂」は2023年1月30日で閉店してしまったそうで…。

貴賓の従者が控えるための、旧次室。

正面の窓からは、ホームと風師山が見えます。

隣の貴賓室は、真っ赤のじゅうたんと大きな円卓が印象的。
「みかど食堂」の個室としても使われていたそうです。

コンコースと待合室

1階へ下りると、ちょうど列車が着いて、乗客がコンコースへ出てくるところでした。
ここまでで思った以上に時間を取られてしまったので、ここからはスピードアップで。

向かって右手のスタバは、かつての三等待合室。
雰囲気を壊さないよう、看板等も最小限です。

対して旧一・二等待合室は、みどりの窓口および観光案内所として利用されています。

カウンターも優雅でクラシカルな雰囲気ですね。

大正ロマンを感じさせる、ネオルネサンス様式の外観。
モルタルを塗って石張り風にした外壁、黒い天然石を葺き直した屋根、唐草模様の屋根飾り…。
2012年から6年におよんだ保存修理工事において、宮内庁所蔵の設計図や民家に保管されていた壁紙などが、基本構造はもちろんのこと、細部の装飾までの復原を可能にしたといいます。
100年前の歴史的建造物を次の100年へ―。
こういった取り組みこそ、まさにロマンかと。

施設情報


★JR門司港駅
福岡県北九州市門司区西海岸1丁目5-31
093-321-8843
門司港駅ものがたり:https://www.jrkyushu.co.jp/company/mojiko_sta/

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