鐵のち食、みちのくふたり旅 Act15「ストーブ列車に乗る」

12月31日。今回の旅のメーンイベント第2弾です

ストーブ列車の存在をいつごろ知ったのかは忘れましたが、はるか本州の果てまで来て、あこがれのきっぷとストーブ列車券を手にすると、何ともいえない感慨を覚えます。
しかも、そのきっぷが今やほとんど目にすることのなくなった硬券というのも、心憎いというほかありません。

そんなノスタルジーに浸っていたのもつかの間、発車30分前になると、駅前のどこに隠れていたのかと思うくらいに多くの人が待合室に入ってきました。
ツアーも数組あったでしょうか。

いよいよストーブ列車に

改札が始まると、みな列車へ一目散。
我々は旅で培ったフットワークを武器に、頭ひとつ抜け出ました。
「席確保しているから、写真お願い!」
分業ができるのも、ふたり旅ならではです。

向かい側のホームには古い貨車が。

津軽出身の小説家・太宰治の作品にも、津軽鉄道を描いた一節があります。
真ん中に「津軽鉄道株式会社」と書かれたデザインは、原稿用紙を意識しているようです。

客車の中をのぞき込むと、袋に入った石炭が積まれています。
この石炭は、釧路沖の海底で採取された国産品。
コストを考えれば輸入品でも不思議はないにもかかわらず、国産品にこだわるあたりに誠実さを感じます。

「こらっ!」
足を踏み入れようとして車掌さんに怒られてしまい、そそくさと…。

ホームの先にはトタン造りの車庫。
こんなところにも「謹賀新年」のあいさつがあるなんて、律儀じゃありませんか。

するめ焼き職人!?

一方、ワタクシはストーブのはす向かいを確保。
目の前だと暑くなりすぎるとかで、このポジションがベストらしいです。

車掌さんがストーブに石炭をくべています。

発車を前に、地方のローカル列車とは思えないくらいに席が埋まってきました。
しかも団体客は別車両。
車内に漂う高揚感が怖いくらいです。

車内販売のおねーさんたちは「津軽半島観光アテンダント」と呼ばれる方々。
どおりで口調や身のこなしが板に付いています。

「するめを焼く方は袋を開けてお待ちください」
金木までの間に食べきれないだろうと、我々は買いませんでしたが、かなりりっぱなするめです。

代わりにストーブ酒(350円)を買い求めます。
銘柄は、この後何度も目にすることになった「じょっぱり」
俗っぽい味ながら、旅情のおかげでスルスルと飲めてしまいます。

車窓からの様子

さぁ、列車が動き出しました。

雪原の先に見える岩木山も、沿線の見どころです。

発車から20分ほどで嘉瀬駅。
「慎吾列車」が留置されていることを知らせるアナウンスでカメラを向けました。
20年前にSMAPの香取信吾が描いたという「夢のキャンパス鉄道」
昨年6月に当人が塗り直しに訪れたそうで、生き生きとした色合いが雪の中に映えています。

我々が下車する金木駅は、その次の駅。
降り立つと、ストーブからの煙が上がっているのが見えました。

店舗情報

★津軽鉄道
津軽五所川原~津軽中里の20.7キロで運行
http://tsutetsu.com/

★津軽半島観光アテンダント
http://t-ate.com/