あとは左下の親知らずを残すのみ
執刀医を指名
1カ月前に右下の親知らずを抜いた時は、キャンセルで空きが出て急きょ話が進んだため、紹介状のあて先となっていたK先生を指名するどころか、顔も見ないままに終了。
六本木のクリニックへ抜糸に行った折にそう報告すると、ドクターの表情がこわばりました。
「で、来月の予約は、K先生になってる?」
「いえ、金曜日で取れる日といっただけなので分かりません」
日々、工場のように難抜歯が繰り広げられているなか、どのドクターに担当してもらうかはたいした問題だとは考えていなかったけれど、そうではないようで…。
「やっかいなのを先に済ませるほうが気がラクですけどね」と、笑いながらいったことを思い出して、冷や汗が出ました。
「とにかく、じかにK先生に連絡を取って、やってもらうようお願いするから」
後で分かった話ですが、ワタクシが紹介状を持って行った日は休みだったんですって。
8月17日、再び西新宿の大学病院へ
この日も、5週間前と同じような青空。
またしばらく口が開かなくなることを見込んで、ハンバーガーで人気の店で腹ごしらえしてから乗り込みました。
前の人のオペが押していて、予定より15分ほど遅れて入室。
「この間は不在にしていて、スミマセンでしたね」
初めてお目にかかったK先生は、大学病院のベテランドクターというイメージより、ずっとフレンドリーな女医さんでした。
難度が高いことはさんざん聞かされていましたが、神経がすぐ近くを通っているといわれると、緊張せずにはいられません。
もしも麻痺するようなことになったら、ごはんを食べる時にこぼれてしまうんだろうか?
歌も歌えなくなってしまうんだろうか…。
「イヤだよね、やりたくないよね。自分だってやりたくないもの」
おいおい、ドクターが不安をあおるようなことをいう?
まわりにいたドクターの卵たちも、苦笑いするほかなかったみたい。
麻酔も多めに打ったのに
「オペ中に麻酔が切れるといけないので、多めにしておきますね」
麻酔が効くまで10数分待たされ、執刀開始。
ある程度勝手が分かっていて冷静でいられることもあり、問いかけにもピースサインで応えます。
ところが親知らずにたどり着くまでも深いし、引きはがすのにかかる時間も段違い。
「痛いよね」「ゴメンね」と、さんざんいわれました。
しかし、痛みよりも口を開けたままでいなければならないのがツラい。
あごが限界になり、たまらず休憩を入れてもらいました。
「そうだよね、開けっぱなしはツラいよね」といって、開口器が登場。
なぁ~んだ、あるんだったら最初から使わせてよ…。
途中で麻酔も追加され、縫合まで完了するのに1時間強。
いくつもの破片に砕かれた前回よりも、原型が残っていることに感心しました。
それに何より、麻痺も起こらずに済んだし、野戦病院のような蒸し暑さのなか、脱水症状を起こさずに済んでよかった(爆)
抜歯に時間がかかるほどカラダへの負担が大きくなり、腫れがひどくなるそうですが、ピークとなった時点でも前回ほど腫れていないような…。
こういうところがベテランの違いなのだろうと思ったのでした。