先天性欠如歯+矮小歯からの歯列矯正体験記 No.08「歯が壊れるか、あごが壊れるか」

とにかく検査を受けてみようと

経年劣化した詰め物のオーバーホールに通っていたおよそ2カ月の間、矯正についての話が出ることはなく、関心が出始めたワタクシにとって半信半疑というか、不完全燃焼というか…。
しかし、最後の治療が終わった時にドクターがいいました。

「新しい虫歯もないし完璧です。あとは歯列矯正ですけど、どうしますか?」

ざっくりしたイメージによると、上は部分矯正というわけにはいかず、全体矯正で1年ほどかかるものの、やること自体は問題なし。
一方、下は3カ月程度で直せるレベルではあるけれど、頭蓋骨からダイレクトな上あごに対し、下あごは筋肉や靭帯でぶら下がるという構造のため、あごの状態によってはできないかもしれないという見解でした。

「もっとも、資料取りのための検査をしてみないと分かりませんけれど」

やれるかやれないかというところから話が始まるのであれば、検査を受けてからやるかやらないかを決めるのもアリではないか―。
そう思って、半月後に検査の予約を入れました。

10月16日。クリニックでの検査

レントゲンを撮ってから、型を取ったり、あらゆる角度から写真を撮ったりと、診察台の上でなされるがまま。
その後、下の歯に金属の棒を付けられて、あごの動きを見る機械のある別室へと移動させられました。
こめかみを金属の枠で挟むようにして頭部を固定され、歯に付けられた金属の棒を装置の穴に通してねじで固定。
機械の先にはノートPCがつながれています。
あごの動きやかみ合わせを検査する「アキシオグラフ」という機械。
それほど大がかりなモノには見えませんでしたが、検査には高い技術が求められるため、扱っているクリニックは限られているのだそうです。

さて、このアキシオグラフでの検査。
ドクターの指示に合わせ、いくつかのパターンで口を開けたり閉じたりするのですが、口を閉じてから下あごをずらすという動作が、右は問題ないのに、左が思うようにできません。
また、下あごを目いっぱい前に出して元に戻す動きも、普段やらないから難しい。
「波形が乱れる」と、何度やらされてもうまくいかず、途中であごの緊張を解くためにキシリトールガムをかまされたりもしました。

「口を開け閉めする時に、カクカクするようなことはありますか?」
「してます」
「どのくらい前から?」
「当たり前になっていて、いつからか分からないくらいなんですけど…」

結果、顎関節症の疑いがあるため、MRIを撮りに行くようにとのこと。
その場で八重洲にある画像診断専門クリニックへの予約を入れられました。

10月22日。画像診断専門クリニックでのMRT

MRIを撮るのは、15年ほど前に婦人科系のオペをした時以来、2度目。
当時、検査のために休みを取らなくてはならなかったことを思うと、定時で仕事を終えてから間に合うという環境がつくづくありがたく思えます。

八重洲のクリニックといっても、最寄り駅は日本橋。
実は数日前にも、ゴスペルのイベントでこのあたりに出没しておりました。

エレベーターで2階に上がって受け付けをし、そのまま問診→ドクターの診察。
口を縦に開けて計測し、検査用のスポンジを作成します。

検査室のある5階には、男性の技師がひとり。
上着のみ検査着に着替え、耳栓を装着してから検査台に横たわります。

・口を閉じて20分間静止
・スポンジをくわえて静止
・一番開いた状態から完全に閉じた状態までを7段階に区切り、それぞれで20秒ほど静止(右7カット、左7カット)

ウトウトしていても大丈夫な、1つ目、2つ目の検査に対し、3つ目の検査は歯科医でも実際に受けると苦労するのだとか。
何度もやり直す人が少なくないなか、一発でOKが出ました。
「上手ですね」と、技師さんはとてもうれしそう。
う~ん、ほめられても…(笑)

無駄に待たされることもなく、受付から会計までは1時間20分ほど。
検査結果は、六本木のクリニックへじかに送ってもらう手はずとなりました。

そして発覚した、衝撃の事実…

資料取りの検査から半月、MRIから10日後の10月31日。
結果を聞きに、六本木のクリニックを訪れました。

・上の歯は正中から左に2mmずれている
→ おおむね想定通り。

・画像診断専門クリニックからの検査結果は『正常』となっているけれど、左側に見逃せない部分がある
→ 重症な症例をたくさん見ている画像診断専門クリニックだけに、このくらいだと正常範囲なのかと。しかし、それを見過ごさないドクターはさすが。

そしてドクターは続けました。
「あとは右側のかみ合わせなんですけれど…」

本来なら、くさびのように上の歯と下の歯が互い違いにかみ合わなければならないと聞かされてから、写真を見せられてがく然。
見事に上と下の歯がぶつかり合っています。

「このままだと歯が壊れるか、あごか壊れるかしますよ」

「歯が壊れる」なんて言葉は、歯のトラブルが絶えなかった知人から1度聞いたきり。
歯が丈夫なワタクシにとっては、歯よりもあごのほうが切実です。
「この間、あごの状態によっては、下はできない可能性があるといってませんでしたっけ?」
そう尋ねると、矯正にあたってのリスクよりも、放置するリスクのほうが大きいとのこと。
この後しばらくは「歯が壊れるか、あごが壊れるか」の言葉が頭の中をぐるぐるしていました。

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